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9.11 以前も世界はクソだったし今もそのクソさ加減は全く変わらない。
世界はもともと不条理なものだ。災害で死ぬかもしれないし交通事故で死ぬかもしれないし
空から落ちてきた亀が脳天に命中して死ぬかもしれない。不条理の対極にある条理が
人間の勝手な願望である以上、人間はこの世界の不条理さの元で生きていくしかない。
ただし、2003年からどこぞかの暑い国を支配している不条理はちょっと性質が違う。
偶然の産物ではなく、人間の作り出した不条理だからだ。テキサスの田舎出身の
元アル中のおっさんが下した判断によって起こされた不条理だ。
アルバムの紹介なのになんでこんな事を書いているのかというと、このアルバムの
一曲目は某国の大統領の開戦の演説で始まるからだ。各曲のタイトルも明らかに
2003年から2004年にかけての出来事に由来している。このアルバムのテーマは「イラク」だ。
ただし、巷間に溢れる安易な「戦争はやめよう」なんていうメッセージとは違うものを
「不条理」は伝えている。その数さえわからない不条理な死、出来事。
人間の創りだす不条理は防ぐことができるのではないか。
防げないのはなぜなのか。そこにあるのは怒りではなく冷たい悲しみである。
決して声高に主張するのではなくそっと、伝える。
先のアルバム「縁」よりも透明な音がより鮮明にその思いの輪郭を浮かび上がらせる。
正直言って、一曲目のタイトルを見たときは悪い予感がした。
反戦の言説には飽き飽きしていたし、ニュースを漁る目はいつも新しい悲惨さを
求めていたから、「ああ、またか」と思ってしまったのだ。
アルバムを通して聴いてそんな自分を恥じた。JOJはもっと高い視点から世界を見ている。
人間の持つ業そのものが今度のアルバムのテーマだ。その意味で「縁」とは対をなす
アルバムである。明るくはないが、冷たい透明な世界を織り成している。
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